痴の巨人、読書感想文を書く

病がかった「知」性が加速する読書備忘録

痴の巨人、太宰治を読む②~人間失格~

1.経緯

学びの必修科目だったため。

やまいがかった「知」性を加速させるため。

寺山修司等他の作家の理解に必読であったため。

 

2.内容

太宰治が彼自身について書いた話。

 

3.名フレーズ

人間が自分という人間に対して信用の殻を固く閉ざしていた p23

・疎外感、余計者感は太宰治作品のキーワードだと思っています。これは、その現れの一つでしょう。

 

女は引き寄せて、突っ放す、或いはまた、女は、人のいるところでは自分をさげすみ、邪険にし、誰もいなくなると、ひしと抱きしめる、女は死んだように深く眠る、女は眠るために生きているのではないかしら、その他、女についてのさまざまの観察を、すでに自分は幼年時代から得ていたのです…この不可解で油断のならぬ生きものは、奇妙に自分をかまうのでした。 p30

・女についての考察。彼は、女が機嫌が悪いとき、甘いものをやれば機嫌が直るとも述べています。このライフハックは、現代でも、学校や職場でも広く実行されています。

 

「ふふ、どうだか。あなたは、まじめな顔をして冗談をいうから可愛い」

じょうだんではないのだ、本当なんだ、ああ、あの絵を見せてやりたい

p86

 

「冷汗、冷汗」 

と言って笑っただけでした。

p91 

 ・言わないんですね、余計ないことは。

 

ただ、一さいは過ぎて行きます。

自分がいままで阿鼻叫喚で生きてきたいわゆる「人間」の世界において、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。  p134

・いかにも。

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4.コメント

 ブルジョワ階級出身でありながら、それを軽蔑しつつも、依存する彼のスタイルは、子供じみているようにも見える。しかし、それなのに人はなぜか惹かれる。やはり、世渡り上手だったのだろうと思う。